小学校の教育費は岩手147万円・埼玉82万円 ― 進学率とは逆の順位になる理由

📰 ・ 2026-08-05

教育にかけているお金は、都市部のほうが少ない

在学者1人当たりの学校教育費を都道府県別に並べると、上位に来るのは人口の少ない県である。

小学校では、多い順に岩手県1,471,632円、徳島県1,454,117円、秋田県1,339,021円、島根県1,327,892円、山形県1,300,638円。少ない側は埼玉県820,261円、神奈川県855,968円、静岡県865,261円、福岡県867,212円、愛知県886,544円。

1位の岩手県と47位の埼玉県で1.79倍の差がある。「都市部のほうが教育にお金をかけている」という感覚とは逆の並びになる。

中学校・高校でも同じ向き

| 校種 | 最も多い県 | 最も少ない県 | 倍率 |

|---|---|---|---|

| 小学校 | 岩手県 1,471,632円 | 埼玉県 820,261円 | 1.79倍 |

| 中学校 | 徳島県 1,837,025円 | 神奈川県 945,954円 | 1.94倍 |

| 高等学校(全日制) | 高知県 1,907,930円 | 千葉県 1,040,309円 | 1.83倍 |

3つとも、上位は岩手・徳島・高知・秋田・島根といった県、下位は埼玉・神奈川・千葉・愛知・大阪。校種が変わっても顔ぶれはほとんど動かない。

この差は「手厚さ」ではなく「規模」から来る

在学者1人当たりの金額は、学校を運営する費用を在学者数で割ったものである。教員の人件費、校舎の維持費、光熱費といった固定費は、児童生徒が少なくても大きくは減らない。

1学年10人の学校でも1学年200人の学校でも、校舎は1つ要り、校長は1人要る。分母が小さいほど、1人当たりの金額は大きく出る。

つまりこの指標が測っているのは、教育の手厚さというより学校の規模である。人口が減っている県ほど1人当たりの金額が上がるのは、その裏返しである。

進学率は逆の順位になる

同じ都道府県を高等学校卒業者の進学率で並べ替えると、順位はほぼ入れ替わる。

高い順に東京都74.1%、京都府74.0%、神奈川県69.4%、大阪府68.9%、兵庫県68.5%。低い側は沖縄県46.7%、宮崎県48.0%、鹿児島県48.1%、佐賀県48.4%、山口県48.5%。

1人当たりの教育費が下位だった東京都・神奈川県・大阪府が、進学率では上位に来る。上と下の差は27.4ポイントある。

進学率を左右するのは、学校にかけたお金より、通える範囲に大学があるかどうか、家計が学費を負担できるかどうかである。県内に進学先が多い都市部ほど、進学は選びやすい。

男女で差が出る県、出ない県

進学率を男女別に見ると、全国的に女子のほうが高い。女子は東京都76.3%、京都府74.9%、兵庫県69.8%。男子は京都府73.0%、東京都72.0%、神奈川県69.8%。

下位を見ると差がはっきりする。男子の最下位は鹿児島県42.7%、女子の最下位は沖縄県49.3%。男子の下位には宮崎・沖縄・山口・佐賀・鹿児島が並び、44%前後に固まっている。

デジタル教科書の整備は、中学校でほぼ行き渡った

デジタル教科書の整備率は、中学校で2013年の42.4%から2023年の96.7%へ。山形県・福島県・茨城県・新潟県・富山県が100%で、最も低い北海道でも83.6%まで来ている。

一方、高等学校では2013年の5.5%から2023年の53.4%と、まだ半分あたりにいる。富山県・徳島県・佐賀県が100%である一方、千葉県21.1%、北海道28.2%、鹿児島県29.4%と、県によって3〜5倍の開きがある。

義務教育と高校で整備の進み方が違うのは、設置者が市町村か都道府県かという違いも効いている。

3つ並べて読む

| 指標 | 上位に来る県 | 下位に来る県 |

|---|---|---|

| 1人当たり教育費 | 岩手・徳島・高知・秋田 | 埼玉・神奈川・千葉・愛知 |

| 高校卒業者の進学率 | 東京・京都・神奈川・大阪 | 沖縄・宮崎・鹿児島・佐賀 |

| デジタル教科書(高校) | 富山・徳島・佐賀 | 千葉・北海道・鹿児島 |

教育費が多い県と進学率が高い県は、ほぼ入れ替わる。使ったお金の多さが結果に直結しない指標であることを頭に置いて読む必要がある。

出典

  • 総務省「社会・人口統計体系」(政府統計の総合窓口 e-Stat 公開データ)

在学者1人当たり学校教育費は2022年度、進学率は最新年、デジタル教科書の整備率は2023年の値。

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